夏の情景(Jungle Smile) [イラスト]
「一緒にいつもの川に遊びに行こうよ、車は私が出すし」ある夏休みの終盤に、そんな電話が唐突に耳に飛び込んだ。
そして自分と先輩の2人はダムの上流の川に来た、そこはみんなで何度も来ている庭みたいな場所だ。
上流だけあって川の水はとても澄んでいて川底が丸見えなのだ、もちろんあまりにも深い滝壺のような場所は青く不気味な色になっていたものの、久しぶりの川に自分は興奮していた。
レジャーシートをひいて、互いに水着姿になり川にダムを作ったり、スイコラと泳いだり、石で囲った真ん中に焚き火を燃やし、その上にトウモロコシを置いて焼いたりと、ちょっとしたキャンプ気分を味わっていた。
「本当はね、M子を誘いたかったんだけど実家に帰ってたから…」
と、先輩は少し申し訳なさそうに言った。
なるほど、その代役として呼ばれた訳か。
そしてトウモロコシを食べ終わると、川の少し下流にある小さな滝をすべり台みたく何度も落ちていく事に夢中になっていた。
時たま来るアブの襲来には華麗な潜水で身を変わし、その度に当たるはずも無い水をアブにぶん投げていた。
着いて数時間経った頃、先輩が「あ」とこぼした。
「ん?」と、答えると「無いの…」と返す「何が?」「ペンダントが無いの…」
どうやら泳いでいた時に無くしてしまったそうだ。
幸い自分が作ったダムの手前でしか泳いでいなかった為、創作範囲は限られる。
「…悪いんだけど一緒に探してくれない?」
「よっしゃまかせろい!」
何だかお宝探しみたいでワクワクした、先輩には悪いけど。
コレでも小学生の頃は名うてのトレジャーハンターと言われた程だ、範囲が限られた場所なら簡単過ぎるぜ!
まずは水の上から探してみる、が、水流のせいで川底がグニャグニャに見えて、あまりよく様子が解らない、仕方ないのでシュノーケルを装備して川に潜り込んだ。
ゴポ…ゴポ…、水の音を耳に石だらけの川底を見る。
無い、此処にも無い、彼処にも無い、ひと通り目で確かめるもペンダントは無かった。
どうやら石の間に挟まったようだ、こうなると捜索はちょっと骨だ。
かと言って後方から視線で圧をかけてる先輩に「止めたい」なんて言えるハズも無く手探りで探す事に。
石をどかしたりするのは良いが、ヌルヌルした石もあって非常に不愉快だ。
「あれ、限定品なの、もう、手に入らないの」と、先輩はつぶやく。それにしても見つからない、と言うか見つけるのが面倒になって来た、なんせ1時間以上水に潜りっぱなしなので、身体がキュウキュウと悲鳴をあげ、体温も下がって来た。
それでも石をガラコ、ガラコとどかしながら探す。
とにかく探す。
蝉の鳴き声の中、川の中で行くアテのない手を泳がせたままフト空を見上げると、雲が今にも泣きそうな嫌な色になっていた。
結局ペンダントは川では無く、レジャーシートのそばに落ちていた。
どうやら服を脱いだ時に落ちてしまったそうだ。
「何か悪かったね」帰りの車でハンドルを握りながら先輩は言った。
自分は襲い来る睡魔と戦いながら「どういたしまして」と答える。
「もう夏も終わりね、あっという間だよね」先輩は少しはにかんだ顔でそう言った。
細かな雨がフロントガラスをポツポツと叩いている、そして車は山の緑に吸い込まれるように消えて行くような気がした。
そして自分と先輩の2人はダムの上流の川に来た、そこはみんなで何度も来ている庭みたいな場所だ。
上流だけあって川の水はとても澄んでいて川底が丸見えなのだ、もちろんあまりにも深い滝壺のような場所は青く不気味な色になっていたものの、久しぶりの川に自分は興奮していた。
レジャーシートをひいて、互いに水着姿になり川にダムを作ったり、スイコラと泳いだり、石で囲った真ん中に焚き火を燃やし、その上にトウモロコシを置いて焼いたりと、ちょっとしたキャンプ気分を味わっていた。
「本当はね、M子を誘いたかったんだけど実家に帰ってたから…」
と、先輩は少し申し訳なさそうに言った。
なるほど、その代役として呼ばれた訳か。
そしてトウモロコシを食べ終わると、川の少し下流にある小さな滝をすべり台みたく何度も落ちていく事に夢中になっていた。
時たま来るアブの襲来には華麗な潜水で身を変わし、その度に当たるはずも無い水をアブにぶん投げていた。
着いて数時間経った頃、先輩が「あ」とこぼした。
「ん?」と、答えると「無いの…」と返す「何が?」「ペンダントが無いの…」
どうやら泳いでいた時に無くしてしまったそうだ。
幸い自分が作ったダムの手前でしか泳いでいなかった為、創作範囲は限られる。
「…悪いんだけど一緒に探してくれない?」
「よっしゃまかせろい!」
何だかお宝探しみたいでワクワクした、先輩には悪いけど。
コレでも小学生の頃は名うてのトレジャーハンターと言われた程だ、範囲が限られた場所なら簡単過ぎるぜ!
まずは水の上から探してみる、が、水流のせいで川底がグニャグニャに見えて、あまりよく様子が解らない、仕方ないのでシュノーケルを装備して川に潜り込んだ。
ゴポ…ゴポ…、水の音を耳に石だらけの川底を見る。
無い、此処にも無い、彼処にも無い、ひと通り目で確かめるもペンダントは無かった。
どうやら石の間に挟まったようだ、こうなると捜索はちょっと骨だ。
かと言って後方から視線で圧をかけてる先輩に「止めたい」なんて言えるハズも無く手探りで探す事に。
石をどかしたりするのは良いが、ヌルヌルした石もあって非常に不愉快だ。
「あれ、限定品なの、もう、手に入らないの」と、先輩はつぶやく。それにしても見つからない、と言うか見つけるのが面倒になって来た、なんせ1時間以上水に潜りっぱなしなので、身体がキュウキュウと悲鳴をあげ、体温も下がって来た。
それでも石をガラコ、ガラコとどかしながら探す。
とにかく探す。
蝉の鳴き声の中、川の中で行くアテのない手を泳がせたままフト空を見上げると、雲が今にも泣きそうな嫌な色になっていた。
結局ペンダントは川では無く、レジャーシートのそばに落ちていた。
どうやら服を脱いだ時に落ちてしまったそうだ。
「何か悪かったね」帰りの車でハンドルを握りながら先輩は言った。
自分は襲い来る睡魔と戦いながら「どういたしまして」と答える。
「もう夏も終わりね、あっという間だよね」先輩は少しはにかんだ顔でそう言った。
細かな雨がフロントガラスをポツポツと叩いている、そして車は山の緑に吸い込まれるように消えて行くような気がした。
2019-02-25 19:00
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